【2025年版】ヤードと建機を“人材育成工場”に変える!~新事業進出補助金を活用した「訓練ビジネス」の始め方~

【2025年版】ヤードと建機を“人材育成工場”に変える! ~新事業進出補助金を活用した「訓練ビジネス」の始め方~

はじめに|なぜ今「訓練ビジネス」なのか?

2024年の「時間外労働規制(いわゆる2024年問題)」に加えて、ベテラン重機オペレーターの高齢化が進行し、若手不足が業界を直撃しています。国土交通省は、2030年に技能労働者が93万人不足すると試算しています。
つまり、“人材育成そのものが事業になる時代”が到来したのです。

そこで注目されているのが、建設会社が自社資源(ヤード・建機・技能者)を活用して訓練ビジネスに参入できる「中小企業新事業進出促進補助金」

本記事では、この補助金を活用して訓練校を開校する手順を、4つのステップで分かりやすく解説します。

目次

Step1|補助金スペックを30秒で把握する

補助金スペックを30秒で把握する

まずは、どれくらいの資金枠があるのかを把握しておきましょう。以下が最新の補助額一覧(2025年7月・公募要領1.3版)です。

スクロールできます
従業員規模補助上限額補助率下限額備考
〜20名2,500万円1/2750万円小規模でも1,000万超可
21〜50名4,000万円同左同左
51〜100名5,500万円同左同左
101名〜7,000万円同左同左
賃上げ特例(加算)+500〜2,000万円同左同左最大9,000万円まで可能

📌ポイント:「機械装置費」または「建物費」のいずれかは必ず含める必要あります。ヤード整備やVRシミュレータなどが該当します。

ここでやるべきこと:
  • 自社の従業員数に応じた補助上限額を確認
  • 投資金額が下限750万円を超えるかチェック
  • 賃上げ要件(+3% or +6%)を満たす余力があるかを検討

Step2|“国家基準+ICT”で差別化するカリキュラム

次に、カリキュラム設計です。特に「ICT活用」「国家基準への対応」が差別化のカギとなります。

5日間・35時間の集中モデル(例)

Day午前午後
1安全衛生・法令方向変換・段差越え
2溝掘削基本法面整形・整地
3ICT測量基礎GNSS体験実習
4ドローン測量点群データ処理
5技能試験修了式・企業マッチング

※国家技能講習の基準時間(31時間)を超えた上で、ICT科目(GNSS・ドローン)を追加すれば、審査員の加点対象になります。

必要な設備と費用感(例)

設備・経費必須?目安費用補足
ヤード整備約350万円建物費として補助対象
VRシミュレータ約280万円ICT加点+学習効率アップ
ICT測量キット約320万円GNSS×2機+ドローン×1台
コンテナ教室約180万円空調・Wi-Fi付
教材(eラーニング)約80万円動画20本想定
既存の建機流用0円資産台帳記載で加点対象
設備投資のコツ:
  • 必須項目2つで最低要件(750万円)を超える構成に
  • VR・ドローンは「加点」や「差別化」に有効
  • 既存建機の活用も大歓迎(簿価1円でも写真・台帳で証明)

Step3|講師体制と経費の“黄金比”を知る

講師体制と経費の“黄金比”を知る

補助金の審査では、「自社の強み活用」が評価されます。ベテラン社員を“看板講師”に、ICTなどの先進パートは外部委託するのが◎。

講師区分補助対象加点効果推奨比率
自社講師×固定費高(独自性)約70%
外部講師○外注費中(先進性)約30%

外注費が事業費の30%を超えると「丸投げ」と見なされ減点の可能性あります。

📌 注意点:
  • 外部講師は「業務委託契約書」の添付が必要
  • 自社講師は補助対象外だが、「事業の独自性」として積極的にアピール

Step4|スケジュール管理と“認可”のリアルな所要期間

補助金採択だけでは終わりません。職業訓練施設としての認可取得も必要です。以下のスケジュール感をもとに逆算しましょう。

主なタスクチェックポイント
0構想立案・県職能協会に事前相談要件の早期把握がカギ
1見積収集(3社)・計画書ドラフト作成価格妥当性証明も準備
2補助金交付申請添付書類の完成度が採択を左右
4交付決定→設備等の発注着手前の発注禁止に注意
6設備・教材の完成写真付きで進捗報告
7訓練施設の認可申請(知事宛)約3〜4か月の審査
10認可→告示→訓練生募集ハローワークと連携すると効果的
12訓練校 開校補助金の実績報告書提出にも備える

最終チェック|採択率アップの3ヵ条

申請前に、次の3つを満たしているか確認してください。

  1. 課題が“数字”で語れること(例:国交省の93万人不足データ)
  2. 収支計画に悲観シナリオがあること(定員70%でも黒字)
  3. 書類不備ゼロで提出すること(GビズID、事業計画書、賃上げ計画)

Q&A|よくある質問にお答えします

簿価1円の建機でもOK?

はい。台帳と写真があれば「既存資産の有効活用」として加点対象になります。

寮や宿泊費は補助される?

原則NG(現物支給とみなされるため)。

カリキュラムが短すぎでは?

国家基準+ICTを満たしており、「先進性加点」が期待されます。

まとめ|“眠れる資産”を稼ぐエンジンに変える

  • ヤード、建機、技能者という既存資源を活用し、
  • 「ICT訓練×補助金×差別化カリキュラム」で、
  • 12か月で開校→2〜3年で投資回収という再現性あるモデルに。

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執筆者

中小企業診断士 

田中 寛也 (Hiroya Tanaka)

建設業に特化した経営コンサルティング会社「タタアイズ」代表。売上と利益を改善する直接的な支援に強みを持ち、地域の中小企業の持続的成長をサポートしている。

タナカヒロヤ(田中寛也)
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