測量DXを加速させる「UAV×LiDAR」の革新力

今、測量の現場では “空から測る” という新常識が広がっています。
その中心にあるのが、UAV(ドローン)+LiDAR(ライダー)による高精度3D点群測量です。
▼ UAV×LiDARがもたらす3つの革命
- 危険な現場も安全に計測
急斜面や橋梁の下など、これまで人が入れなかった場所を“空から”安全にカバー。 - 出来形測量が圧倒的に早い
従来3〜4日かかった作業が1日以内で完了。人員・日数を大幅に削減。 - CAD/CIMとのスムーズな連携
取得した点群データをそのままクラウドや設計ソフトに連携し、設計変更もスピードアップ。
▼ 高性能な分、導入コストは高額…
- 機体+レーザーユニット:1,500〜1,800万円
- 解析用PC・点群処理ソフト:300〜600万円
合計で2,000万円超になることも珍しくありません。
💡そんな時こそ活用したいのが、2つの補助金!
- 「ものづくり補助金」:新サービス・技術開発に強み
- 「省力化投資補助金」:人手不足解消・自動化を重視
どちらを選ぶかで、申請内容や効果の出し方が大きく変わります。
次章では、その違いをわかりやすく比較していきます。
ドローン測量導入に使える!補助金2制度を比較【2025年最新版】
ドローンやLiDARによる3D点群測量を導入する際に活用できる補助金は、主に次の2つです:
- ものづくり補助金(高付加価値化枠)
- 省力化投資補助金(一般型)
どちらも強力な制度ですが、目的や内容に応じて選ぶべき補助金は異なります。
以下の表に、最新情報をもとにした比較をまとめました。
比較項目 | ものづくり補助金 (高付加価値化枠) | 省力化投資補助金 (一般型) |
補助率 | 中小企業:1/2 小規模企業:2/3 | 中小企業:1/2(小規模:2/3) ※1,500万円超は1/3 |
---|---|---|
補助上限額 | 750~2,500万円(従業員数に応じる) 賃上げ特例で最大+1,000万円加算あり | 750万〜8,000万円(従業員数に応じる) 賃上げ特例で最大1億円まで拡大 |
採択率(目安) | 約50%(第18次公募) | 約68.6%(第1回公募) |
申請書のボリューム | やや多い +事業計画・収支予測など | 多い +ROI試算・見積比較・導入効果の証明資料など |
補助対象 | 新製品・新サービス開発、 業態転換や付加価値向上 | 現場の省人化・人手不足解消、 自動化・作業効率化 |
自己負担の目安 | 投資額の約50% (小規模は30〜40%) | 上限超過分はすべて自己負担 実質33〜50%程度 |
🔍 あなたの目的に合うのはどっち?
✅ 新サービス・新ビジネスを立ち上げたい
→ ものづくり補助金
点群処理や3D測量データの活用を軸に、独自性や技術性を打ち出す事業に最適です。
✅ 現場の人手不足を設備投資で解決したい
→ 省力化投資補助金
UAV、LiDAR、解析ソフトなどを一式で導入し、作業時間・人件費の削減効果を数値で説明できれば、採択の可能性が高まります。
目的別に見る:あなたに合った補助金の選び方
補助金は「何のためにドローンを導入するか」によって、選ぶべき制度が異なります。
以下のように目的別で整理してみましょう。
◆ 新規でドローン測量事業を立ち上げたい場合
▶ おすすめ:ものづくり補助金(高付加価値枠)
- 点群データの加工・解析など、新たな収益モデルの構築が補助対象に。
- 独自の解析アルゴリズムや専用ソフトの開発計画を盛り込むと加点が狙えます。
- 「今までにないサービス」を生み出すことで、事業再構築の要素もプラス。
◆ 現場の人手不足を解消したい場合
▶ おすすめ:省力化投資補助金(一般型)
- 例:測量員3名 → 2名へ省人化 などの効果を、「労務費 × 削減工数」で定量的に示せると採択率アップ。
- ドローン機体・LiDAR・解析ソフト・クラウド運用費まで一括申請可能。
- 「人が足りない」という現場のリアルな課題を、設備導入でどう解決するかが問われます。
補助金でここまで変わる!ドローン導入の投資シミュレーション
ドローン+LiDAR+解析ソフトの導入にあたって、補助金を活用した場合としない場合では、自己資金の負担や投資回収期間(ROI)に大きな差が生まれます。
以下は、総額2,400万円の設備投資を想定したシミュレーションです。
項目 | 補助金なし | ものづくり補助金 | 省力化投資補助金 |
投資額 | 2,400万円 (機体1,600+SW500+PC300) | 同左 | 同左 |
---|---|---|---|
補助金 | 0円 | 1,200万円(補助率1/2) | 1,200万円(補助率1/2) |
自己資金 | 2,400万円 | 1,200万円 | 1,200万円 |
年間効果 | 外注費削減400万円+ 追加受注300万円 | 同左 | 同左 |
投資回収年数 | 約3.4年 (2,400万円 ÷ 年間効果700万円) | 約1.7年 (1,200万円 ÷ 年間効果700万円) | 約1.7年 |
✅ 補助金を活用すれば…
- 自己資金は 半分に圧縮
- 投資回収期間(ROI)は 約1.7年まで短縮
- 経営へのインパクトは 資金面・収益面の両面で大
ドローンや3D測量機器の導入は決して安くはありませんが、補助金を活用することで現実的な投資に変えることができます。
次章では、採択されるために必要な“人手不足”の証明方法や加点ポイントを解説していきます。
採択率を高めるために必要な“2つのカギ”

補助金申請で採択されるためには、ただ「設備を入れたい」と書くだけでは不十分です。
審査で評価されるのは、①人手不足の裏付け(定量データ)と、②技術的な妥当性(証拠資料)です。
「人手が足りない」を“数字”で証明する
現場の人材不足を定量的に示すことで、補助金の必要性に説得力が増します。
以下のようなデータは、特に有効です。
- 求人倍率:ハローワーク求人票に対する応募数(応募数 ÷ 求人数)
- 労働環境指標:月あたりの残業時間、有給取得率など(勤怠データから算出)
- 受注辞退件数:人手不足により辞退した見積・入札の件数(見積管理表などから抽出)
「この設備に意味がある」と技術的に説明する
設備の性能や導入効果を客観的に示す資料も重要です。
とくに高額な機器(ドローンやLiDAR等)の導入には、以下のような技術的裏付けが求められます。
- LiDARの精度試験成績書(例:±3cm以内での計測結果)
- GNSS+IMUの補正アルゴリズムの概要図(測位制度の根拠)
- クラウド解析の処理時間比較データ(他製品や旧機種とのベンチマーク)
これら2つの視点から資料を揃えることで、審査側に「導入効果が明確で、妥当性がある」と印象づけることができます。
次の章では、実際の申請スケジュールや注意すべき“落とし穴”を詳しく解説します。
申請スケジュールと注意点【準備は早めがカギ】
ドローン測量に補助金を活用する場合、申請から導入までに数か月かかるのが一般的です。
下記のスケジュールを参考に、逆算して準備を始めることが成功のポイントです。
フェーズ | ものづくり補助金 | 省力化投資補助金(一般型) |
企画構想の検討 | 約1か月 | 約1か月 |
---|---|---|
見積取得・ROI試算 | 約1か月 | 必須・約1か月 |
申請書作成 | 約1.5か月 | 約2か月 |
審査期間 | 約2か月 | 約2か月 |
交付決定〜発注 | 約1か月 | 約1か月 |
導入完了期限 | 9〜12か月 | 6〜9か月(短め!) |
- 省力化投資補助金は導入期限が短く設定されており、油断できません。
- 特にLiDARやUAV機器は受注生産が多く、納期2〜3か月以上かかる場合もあります。
- 補助金交付決定後、発注のタイミングを逸すると期限内に間に合わなくなるリスクあり。
- 申請前から見積取得・納期確認を済ませておく
- 発注準備書類をあらかじめ整えておく
- 交付決定から1週間以内に発注できる状態にしておく
「補助金は採択されたのに、納品が間に合わず不採択扱いになった…」
そんな残念な結果を防ぐためにも、準備は“申請前”からスタートするのが鉄則です。
提出前の最終チェックリスト【これを見れば安心】
申請書の提出直前はミスが起きやすいタイミングです。
以下のポイントを1つずつ確認し、書類不備や減額リスクを防ぎましょう。
- 見積書の製品型番・仕様が申請書と完全に一致しているか
→ 型番の一文字違いもNG。メーカー名・仕様書とセットで再確認を。 - 労務費削減効果が金額で具体的に算出されているか
→ “人数×日数×時給”などの試算式があると説得力が増します。 - 賃上げ計画(+3% or +6%)と損益計画が矛盾していないか
→ 売上・人件費の推移と整合しているかをシミュレーションで再確認。
- クラウド解析ソフトの利用料は、2年分前払い分として計上しているか
→ サブスクリプション型は「契約期間の前払い分のみ」が対象です。 - ドローン登録制度の費用や飛行許可申請料も忘れずに含めているか
→ 電子申請・許可取得にかかる実費も、立派な対象経費です。
万全の準備ができたら、提出前にもう一度このチェックリストを見直す習慣を。
わずかな見落としが採択結果を左右することもあるため、“最後のひと押し”こそ丁寧に行いましょう。
まとめ:空から始まる“省人化 × 高付加価値”の時代へ
ドローン測量の導入は、もはや先進企業だけの選択肢ではありません。
- 生産性が飛躍的に向上
→ 作業時間を大幅に短縮、再測量の手間も減少 - 危険な現場の安全性を確保
→ 急斜面・橋梁下なども無人で計測可能
✦ 補助金の特徴を整理
補助金名 | 向いている企業 | 主な目的 |
ものづくり補助金 | 新サービス・技術革新を進めたい企業 | 新事業・高付加価値化 |
---|---|---|
省力化投資補助金 | 現場の人手不足を解消したい企業 | 省人化・自動化による生産性向上 |
✦ 補助金活用のインパクトは絶大!
- 自己資金の負担が最大50%削減
- 投資回収期間(ROI)は約1.7年まで短縮可能
- 財務的にも人的にも経営改善に直結
空から始まる測量のDX。
今こそ、省人化と付加価値向上の両立を実現するチャンスです。
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中小企業診断士
田中 寛也 (Hiroya Tanaka)
建設業に特化した経営コンサルティング会社「タタアイズ」代表。売上と利益を改善する直接的な支援に強みを持ち、地域の中小企業の持続的成長をサポートしている。
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