【週休2日、希望が持てる建設業へ──新4K実現に向けた情報発信の工夫】

【週休2日、希望が持てる建設業へ──新4K実現に向けた情報発信の工夫】

こんにちは。今回は、建設業界で奮闘するある経営者の方からいただいたご相談をご紹介します。

ご相談内容:若手から選ばれる会社になるためにはどうすればよいか…

ご相談内容

当社はマンションの大規模修繕工事を中心に、外壁塗装や防水工事を手がける従業員15名の中小企業です。
ここ数年、特に若手の採用に苦労しており、高齢化が進む現場では受注量の制限や納期の調整に頭を悩ませています。
週休2日制度を導入したいという思いはあるものの、発注者の理解を得るのが難しく、適正な工期や単価の確保も難航しています。
しかし、新しく入職する若手が希望を持って働けるように少しずつですが職場環境の改善を進めています。

そこでご相談したいのが、若手に向けて「環境改善に向けた当社の動きをどのようにPRしていけばよいか」ということです。建設業4団体が提唱する「新4K(休暇・給料・希望・かっこいい)」の理念を、企業としてどのように表現していけばよいでしょうか?

回答:変わりつつある建設業の「今」を伝えて期待と共感を得る

回答:変わりつつある建設業の「今」を伝える時代へ

ご相談ありがとうございます。

現在、建設業界は構造的な人手不足に直面しています。特に若年層の入職率の低下は深刻で、今後のインフラ維持にも影響が出かねません。その中で打ち出されたのが、「新4K」という新たな業界ビジョンです。

新4Kとは?業界イメージの刷新に向けて

「新4K」は、従来の“3K”に代表されるマイナスイメージ──きつい・汚い・危険・給料が安い──を払拭し、次の4つの魅力で業界を再定義しようとするものです。

  • 休暇:週休2日など、働きやすい制度設計
  • 給料:技術と責任に見合った安定収入
  • 希望:キャリアアップと長期的な成長ビジョン
  • かっこいい:誇りと美しさを感じられる仕事の見せ方

この理念を“社外”にどう発信するか。

重要なのは、「変わってきている建設業界」を“見える化”することです。

SNS活用が鍵!新4Kを伝える情報発信のポイント

SNSは、業界や地域を超えてリアルな企業像を届けられるツールです。

特に若手求職者にとっては、文字情報よりも動画や写真、社員の声といった“体感的な情報”が刺さります。

ここでは、新4Kを意識した情報発信のポイントを3つに整理してご紹介します。

ポイント

現場の“リアル”な魅力を伝えるビジュアル投稿

  • ビフォーアフターの写真や高所作業中の職人の真剣な表情などは、若手が憧れを持つ「かっこよさ」の要素。
  • 整備された作業環境安全対策への取り組みも、現場の「安心感」を伝えるポイントになります。
  • ドローン映像やタイムラプス動画なども、演出次第でプロフェッショナル感を演出できます。
ポイント

社員の声で“休暇・給料・希望”を体感的に

  • 「週休2日になってから、子どもと過ごす時間が増えました」
  • 「一級塗装技能士を取得し、給与も上がって自信がついた」
  • 「この仕事は、人の生活を守るという誇りがある」

こうした現場の“実感の声”を短いリール動画やストーリーで定期的に紹介することで、職業としてのリアリティと魅力を若者にも伝えることができます。

ポイント

発注者や協力会社にも伝えるメッセージを

  • 「この現場は、適正な工期設定により高品質な修繕を実現しました」
  • 「協力会社と共に、週休2日を目指した現場運営を実践中」

発注者・管理組合に対しては、単なる納期厳守ではなく“質の担保と働き方改革の両立”を提案する姿勢を可視化することが信頼形成につながります。

SNS発信ネタ例(週1投稿想定)

  • 【今週の現場】天候と相談しながら、丁寧に、確実に。
  • 【社員インタビュー】「入社3年目、現場責任者に挑戦中」
  • 【休暇改革の裏側】週休2日制に向けた社内会議の様子
  • 【資格取得支援制度】受講費補助と合格者のコメント紹介
  • 【女性職人の一日密着】リアルな作業風景と笑顔の裏側

ポイントは、「特別なこと」ではなく「日常の努力」を丁寧に伝えることです。投稿を見た人が「この会社なら自分も働いてみたい」と思えるような発信を意識しましょう。

SNSだけで終わらせない!発信→信頼→選ばれる企業へ

情報発信は“手段”にすぎません。最終的に重要なのは、発信内容と実態が一致していることです。

例えば、週休2日の実現を目指すならば:

  • 社内での業務効率化の取り組み
  • 適正工期・適正単価の交渉履歴
  • 朝礼や定例会議での進捗管理の工夫

こうした“裏側”も、時には社内報風に発信すると説得力が増します。

SNS→共感→面談→採用→定着という流れができれば、情報発信は単なるPRではなく「経営の武器」になるのです。

社会全体に届けたい「変わり始めた建設業界」

「新4K」の実現は、ひとつの会社だけでは限界があります。だからこそ、一社一社が「変わろうとしている姿」を発信することで、業界の見え方そのものを変えていく必要があります。

特に、建設業の本質的な魅力──人の暮らしを守る、未来に残る仕事──は本来とても誇れるものであり、それを言語化し、可視化し、発信する責任が今、私たちには求められています。

最後に:変化の先頭に立つという選択

「自社だけでは難しい」「何から始めていいかわからない」
そう感じたとしても、それは自然なことです。

だからこそ、私たちのような専門家が寄り添いながら、SNS運用支援や動画制作、発信戦略の設計など、“情報発信のはじめの一歩”を伴走支援することができます。

変わりたいと思っている今こそ、変化のスタート地点。

ともに、「希望が持てる建設業」への道を切り拓いていきましょう。

執筆者

中小企業診断士 

田中 寛也 (Hiroya Tanaka)

建設業に特化した経営コンサルティング会社「タタアイズ」代表。売上と利益を改善する直接的な支援に強みを持ち、地域の中小企業の持続的成長をサポートしている。

タナカヒロヤ(田中寛也)

※本記事は、実際の中小建設業からのご相談事例を基に、一部フィクションを加えて再構成しています。

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